初期研修2年目の先生方へ
~2025年度鹿児島大学産婦人科研修プログラムのご紹介~
1. プログラムを展開する背景
日本産婦人科学会では1987年より充実した専門医制度を行っておりましたが、平成30年度からは専門医機構による専門研修プログラムに移行しました。鹿児島大学産婦人科専門研修プログラムでは豊富な症例のもと、プライマリケアから集学的医療および標準的医療から先進的医療まで幅広く経験できる産婦人科専門医研修を提供します。さらに専門医取得後は、さらに高度で最新の医療に触れるサブスペシャルティ研修を準備しています。よって選んでいただければ、少なくとも臨床力に富んだ一般産婦人科専門医にはた易くなれますし、最終的には卓越した知識と技能を有するサブスペシャルティ専門医になれるような研修体制を用意しています。よって、多くの症例の主治医となることを希望し、高度な先進医療や探索的医療(臨床試験)にも興味を持つ研修医の方にはベストの選択になると思います。
また、県内もう一つの基幹施設である鹿児島市立病院産婦人科とともに、“鹿児島県のプログラムを選べば必ず優秀な産婦人科医となれる”を合言葉に、2つの理想的な専門研修プログラムを連携させ、理想的な研修環境を確立しました(図1参照)。すなわち、基幹施設である両施設がお互いの連携施設ともなっていますので両施設にまたがる研修を受けることも可能で、緊密な協力体制のもと大きな自由度をもった研修施設の集団(ネットワーク)を形成することができました。もちろん、一般専門医取得後にお互いの施設を行き来するサブスペシャルティ研修も可能としましたので、“オール鹿児島”で優秀な産婦人科専門医を育成する体制ができあがりました。当教室の地域研修はかねてより充実していますが、離島での研修を希望する方には奄美大島や種子島の連携研修施設を地域医療研修の期間に選択することができます。また、一度は鹿児島を離れて東京や横浜で働いてみたいという思いから関東で研修し、専門医取得後も郷里に戻る機会を失ってしまう研修医がいることを憂い、本プログラムでは横浜市立大学関連の2施設および聖路加国際病院とも連携させて頂きました。鹿児島大学病院産科婦人科の専攻医の皆さんが当教室を母艦として関東に旅立って都会の研修生活を経験した後は、また鹿児島に帰艦して専門医研修を仕上げて頂くことを願っての試みです。
以上のように、鹿児島大学産婦人科専門研修プログラムを選択して下さった研修医の皆さんは、自由かつ柔軟ながらも充実した研修システムのなか、産婦人科一般専門医を取得していくことになります。その取得後は、すでに専門医機構にサブスペシャルティ領域として認定されている周産期、婦人科腫瘍、生殖医療に加え、近々認定される女性ヘルスケアの専門医を目指して研修していくことになりますが、この4領域を専門とする指導者を豊富にそろえ、どの領域でも充実したサブスペシャルティ研修を提供できる基幹施設はそう多くはありません。加えて、大学院進学、海外留学、出産・育児・病気療養中などの修練期間のサポート体制も充実していますし、後述するように地域枠出身者の方の専門医取得が遅れないローテーションモデルも提供できました。ぜひ鹿児島大学産婦人科専門研修プログラムを選んで鹿児島県の産婦人科医になって下さい。若き産婦人科医が増えることこそが今後の鹿児島の産婦人科医療を発展させていく原動力です。一人でも多くの初期研修医の皆さんが私たちの産婦人科専門医プログラムを選択してくれることを心より願っています。
図1
2. プログラムの理念、全体的な研修目標
本プログラムは、標準的な産婦人科医療を提供でき、プロフェッショナルとしての誇りを持ち、患者に寄り添い患者に信頼される産婦人科専門医を育成して、県民、国民の健康に資するという理念を持ちます。具体的には、高度な産婦人科医療を担う鹿児島大学病院や連携施設において本邦の標準治療や先進的な医療を学び、地域医療を担う連携病院では鹿児島県の医療事情を理解のうえ地域の実情に合わせた実践的な医療を学ぶ研修を提供することにより、広い知識、錬磨された技能と高い倫理性を備えた産婦人科専門医を育成し、将来の鹿児島県全域の産婦人科医療を支える理念を持っています。
研修目標としては生殖・内分泌領域、婦人科腫瘍領域、周産期領域、女性のヘルスケア領域の4領域にわたり、十分な知識・技能を持ち、標準的な医療の提供ができるようになること、産婦人科領域以外の専門医への紹介・転送の判断を適切に行い、産婦人科領域以外の医師からの相談に的確に応えることができること、メディカルスタッフの意見を尊重し患者から信頼されること、倫理性や社会性をそなえながら常に学問的姿勢をもつ医師となること等である。
3. 専門研修内容について
鹿児島大学産婦人科専門研修プログラムでは鹿児島大学病院産婦人科を基幹施設とし、連携施設とともに研修施設群を形成して専攻医の指導にあたります。各連携施設には得意とする産婦人科診療内容があり、基幹施設を中心として連携施設をローテートする事で周産期、婦人科腫瘍(類腫瘍を含む)、生殖医療、女性のヘルスケアの4領域を万遍なく研修する事が可能となります。地域医療研修施設では地域医療の最前線を経験し、その医療の特性を理解し、安全かつ安定した地域医療の提供に何が必要かを勘案できる能力を習得します。また、大学病院では経験する事が少ない医療(性病、性器脱、避妊指導、検診など)を学べる事も重要なことです。
鹿児島大学専門研修プログラムの例示
1) 基幹施設2年間研修コースの例 (図2)
・1年目と3年目に基幹施設である鹿児島大学病院で研修します。
・2年目は通常の連携施設と地域医療連携研修施設で研修します。
この2つの研修の配分は3:9か月、6:6か月、9:3か月の中から選択可能です。
またどちらを先に研修しても構いません。また地域医療研修期間中に2つの地域医療連携施設を選択することも可能です。
図2
2) 基幹施設1年間研修コースの例 (図3)
・1年目に基幹施設である鹿児島大学病院で研修します。
・2年目は通常の連携施設と地域医療連携研修施設で研修します。
この2つの研修の配分は3:9か月、6:6か月、9:3か月の中から選択可能です。
またどちらを先に研修しても構いません。また地域医療研修期間中に2つの地域医療連携施設を選択することも可能です。
・3年目は通常の連携施設で研修します。この1年間に2つ連携施設を希望し6:6か月の配分で研修しても構いません。
図3
3)地域枠研修コースの例 (図4)
1年間の実務研修と2年間の離島・へき地義務勤務、および4年間(学士編入地域枠出身者は2年間)の知事指定病院での義務勤務が課せられる地域枠出身者にとって、新しい専攻医プログラムの中で外科系診療科を選んだ場合、専門医取得が遅れることを心配されていると思います。これに関しては当プログラムでは心配がなくなりました。すなわち、1)実務研修と離島・へき地勤務の3年間の義務勤務は専門医取得後に延期しても構わないこと、2)離島・へき地勤務は種子島産婦人科医院での2年間でも構わないこと、を鹿児島県の担当課や種子島の自治体と協議のうえ実現しました。よって、専門医取得が遅れないためには図4の最上段のローテーションモデルを選択し、専門医取得前の3年間中2年間の義務勤務を知事指定病院(連携施設である済生会川内病院と地域研修連携施設である鹿屋医療センターと県立大島病院)での研修とし、専門医取得後に実務研修と離島・へき地義務勤務を行なえば良い訳です。通常は一人で一般診療所に勤務しないといけない離島・へき地勤務の2年間も種子島産婦人科医院で勤務すれば、官舎も備えた新築の素晴らしい設備のなか、当教室専門医の指導のもと産婦人科研修が続けられます。また、その期間中は実務研修中と同様に、週1回程、鹿児島大学病院など総合病院での研修を受けることができます。よって、実務研修と離島・へき地勤務を専門医取得後に延期しても、その後の専門医更新にすら影響しない環境を提供することができました。これによって地域枠出身の方々が安心して当プログラムを選択して下さることを願っています。
4. 専門研修施設について
1) 専門研修施設群の構成
鹿児島大学産婦人科専門研修施設群は、図1のような基幹施設および複数の連携施設・地域医療連携施設からなります。専攻医は6ヶ月以上24ヶ月以内の期間、基幹施設での研修を行います(研修期間が3年を超える場合には延長期間の研修を基幹施設で行うことは可とします)。連携施設1施設での研修も24ヶ月以内とします(研修期間が3年を超える場合には延長期間の研修を当該連携施設で行うことは可とします)。原則として、専攻医は当該プログラムの募集時に示されていた施設群の中でのみ専門研修が可能です。
専攻医の研修に際しては、原則として施設群内の複数施設を年次で定められたプログラムに則って計画的に移動しますが、産婦人科領域の特殊性、地域医療への配慮などにより柔軟に運用します。
2) 専門研修施設群の地理的範囲
鹿児島大学産婦人科施設群は3つの連携施設(東京都1ヶ所、神奈川県2ヶ所)以外は全て鹿児島県内の施設群です。
5. 研修の中止・中断について
1) 専門研修プログラム期間中の疾病、出産、育児や介護等に伴う常勤の休止期間(休職・休業・常勤に満たない短時間雇用)は合計6か月以内を研修期間に含めることができる。なお、疾病の場合は診断書を、出産、育児の場合は出産を証明するもの、介護の場合は家族が要介護状態にある事実を証明できるものの添付が必要である。
2) 2020年度以降に研修を開始する者の疾病での休職あるいは出産、育児や介護等に伴う休業による専門研修開始の遅れは6か月(9月末日)まで認める。なお、疾病の場合は診断書を、出産、育児の場合は出産を証明するもの、介護の場合は家族が要介護状態にある事実を証明できるものの添付が必要である。
3) 上記1) 、2) に該当する者は、その期間を除いた常勤での専攻医研修期間が通算2年半以上(うち基幹施設での6か月以上の研修および1か月以上の地域医療研修を含む)必要である。
4) プログラム統括責任者が産婦人科専門研修として小児科や麻酔科など他科での研修が必要であると判断した場合は、プログラムにその研修内容を記載する。日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会および日本専門医機構がそのプログラムを承認した場合には他科での研修が可能となる。ただし、産婦人科専門研修として認められる他科での研修期間は通算6か月以内を目安とする。
5) 留学、常勤医としての病棟または外来勤務のない大学院の期間は研修期間にカウントできない。
6. 応募方法
応募申込書に必要事項をご記入の上、FAXまたはメールにて鹿児島大学産婦人科医局へお申込みください。
応募申込書はこちら
鹿児島大学産婦人科 医局長 戸上 真一
電話番号:099-275-5423
FAX番号:099-265-0507
E-mail: